寝床

アニメや漫画

刀使ノ巫女 雑記

「同じ産道を通って来なくとも、成長し、胎動をその胸に宿してそれを共に感じられることはすなわち百合なんだな。姉妹は百合だし親子は百合だし世界は百合で出来ている」

「世界は百合に包まれている。生きている即ち百合。だからこそ特大感情があれば百合が釣れるとは限らない。あなたの胸の胎動をよく聴いて。百合の息吹を感じて」


2018年4月下旬のツイートにて、私はこのようなことを呟いている。一見するとよくわからないかもしれないが、共通して、あるアニメをみたことが原因である。それは何かというと、刀使ノ巫女というアニメだ。


http://tojinomiko.jp/

刀使ノ巫女の詳細は公式ホームページにお任せするとして、なぜこのような感想を、過去の私は持っているか。

それにはまず、様々な背景を説明しなければならない。まず、刀使ノ巫女は2018年1月から6月に渡って放送された、2クールの、オリジナルアニメである。4月時点でのツイートということは、まだ1クール目の途中の感想である。

さらに、私は刀使ノ巫女のアニメを、最初は、2話くらいみて「退屈だな」と感じ、切った。そして11話ほど放送された後、なにやらTLが騒がしい様子が伺え、そんな話題のクソアニメならばみようかなと思い、好奇心で再生していた。設定が緻密に構築されていく設定厨の私はドツボにはまった。そして何より、メインキャラの死亡という想定もしていなかった出来事に遭遇し頭が混乱した。

そして合わせて、私は百合が好きだ。女性と女性の関係が好きだ。百合というと、ジャンル分け問題が色々とあるが、あまりここで議論するほど興味がないので、広義に百合と話そうと思う。


可奈美と姫和のお母さんたちと、世代を超えて、結びついた、数奇な運命の話。

現在、アニメを見返している最中で、9話まで視聴している。9話で、荒魂と刀使の歴史は400年の歴史がある、そのほか、ノロの軍事利用の流れとか、何時頃から始まっちゃったのかとか、アメリカの関係とかが、フリードマンの口から語られる。そしてノロを祀るお祭りという、さりげなく私たちの日常にあるイベントの中に、莫大な人間、莫大な世代、莫大な数の国が、関わっていることを、よくわからせてくれる。余談だけど、あの世界、こっちと違い、お祭りって、ノロ管理が徹底されているので、統制されてしまい、明らかに少ないのだろうか。お祭りの歴史もすると随分違うのだろう。誰かオンリーで研究本だしてほしい。


話を戻して、刀使ノ巫女は、人間関係が地図のように広がっていく。たとえば、ある男女、思い浮かべてもらうなら十条家、恋愛関係が横線で結ばれて、そこに子供が生まれて縦線が新たに生まれていくのではなく、波紋状に広がっていき、関わる全ての人々に影響を受け、また影響を及ぼされて、世界に生きていく。どこまでも、即物的な世界であるのだ(そういう意味では、ある意味、刀使ノ巫女は、こっちの世界に超寄り添っていると思う)。例えば、1クール目に限るが、沙耶香に着目してみる。沙耶香は最初、高津学長に従わされている。沙耶香は反抗しない。なぜか。反抗したくてもできなかったのではない。反逆心があったけど抑えていたのではない。反抗する心を自覚できていなかったのだ。それでも高津学長に違和感はあった。でも、これでいいとも思っていた。だって、才能があったから。褒められてはいたから。叱られてもいたから。沙耶香にとって、高津学長は親で、沙耶香はその子どもだったから。

そんな中、沙耶香の心を自覚させてくれた人物が現れてくれる。可奈美、そして舞衣だ。可奈美は言わずもがな、御前試合と、3話の襲撃。7話冒頭で、高津学長にノロ投薬されることを拒否する。どうしてかわからず、沙耶香は逃げ出す。まだ、自分の気持ちに整理がついていない。そして舞衣は7話で、沙耶香の事情を把握しなくても、沙耶香ちゃんの気持ちを聞かせてほしい、と優しく問いかけてくれる。沙耶香は、自分の本当の気持ちをはっきり見つける。「いやだ」と。

ざっくりと見返しているので、他にも沙耶香を中心に、他のキャラクターの関連性を見いだせるかもしれない。まだ見返し途中なので詳しくはなんとも言えないのだが、夜道の関係など。羽島学長と高津学長がすれ違ったシーンで、舞衣と連絡先交換失敗して(初見で完全に失敗してると思ってた)、糸見沙耶香が親衛隊入りし第五席として加入し、結芽とそれなりに仲良くなり、結芽と一緒に行動して五人の前に立ちふさがるんだけど、色々あって仲間になる(でも結芽の運命は覆せない)ifルートの可能性はあるでしょうか。

9話では、エレンに小さな背中を流してもらっていたし(大きくなるためにはちゃんと食べよう。確か、13話で可奈美もびっくりの偏食ぶりを発揮していたが、食べるのは大事だ。もちろん食べ過ぎもよくないけど舞衣ちゃんと料理上手な姫和がきっとなんとかしてくれるエレンは科学の力で創作料理し出すからやめて薫とめて可奈美はつまみ食いするな)。

そして沙耶香が、心を自覚して、2クール目には、内里歩に、かつて可奈美や舞衣、たくさんの人間の地図を学び、剣に込め、託す。そんな世界は、沙耶香みたいなやりとりが無限に続いていき、これからも続いていくのだろう。


話が前後してしまうが、私は砂山さんの脚本担当回が好きだ。BDブックレットの座談会で、フィクション作品における日常描写をとても気にかけていた、という話をされていたからだ。例えば、潜水艦一つとっても、どう動かしてるの?誰が動かしてるの?どこ所属?など。そんなもの誰も気にしていない、と切り捨ててしまえば、それはそれでよいだろう。しかし、ここまで拘ったからこそ、世界観に説得力が増してきたことも、事実であろう。砂山さん担当回にフリードマンが登場するのも、説明台詞が多いのも、そのような理由だろう。このような回は冗長になってしまう場合がどうしても多いだろうし、アニメ視聴者的には、いいからさっさと百合がみたいとか頭に話が入ってこねえとか(実際止め絵で話されるのであまり話が入ってこない、フリップとかやってもらえればありがたかった気もするがどうだろうか)、そういうのは、難しい配分なのだろうなと、設定厨的に考えさせられる。あとエレンがかわいい。




高津学長と沙耶香の関係を親子と比喩したように、各学長とその生徒の関係というのは、まるで親子のよう、というのは、作品を通して思っている。例えば、羽島学長が舞衣と自分を重ねたような。五條学長も、姫和と重ねたのだろうか。いや、どうか。こちらは、五條学長は頭が切れるタイプとみるので、むしろ、姫和の身を案じて、という気がする。それぞれスタイルがまるで違う。真庭学長と薫なんて、姉妹のようだ。錬府と綾小路は、親子なのに利害関係のみで繋がっている無機質さという点で表面上似ているが、錬府はそのまま、綾小路は本心でないと、それぞれスタイルがある。子育ての方針が違うのだ。そして、それぞれの反映が、御前試合とも言えるのではないのだろうか。

大会二連覇して親衛隊第一席を輩出し、こっそり小烏丸を姫和に渡し、とじともでは清香という才能を見出す五條学長まじ強い。



アニメで語られる、美奈都、篝、紫の世代、可奈美や姫和の次世代などの関係に留まらず、いろんな関係が伝播していく。刀使ノ巫女は一つの地図だ。地図は一つの世界だ。世界は百合だ。生きている限り、地面を踏んで空を見上げる限り、百合はそこにある。刀使ノ巫女はそういうアニメだ。

生きてるって百合。